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小学校のころ、閉じ括弧の前には句点(「」)を置くと教わった記憶があります。
しかし実際、閉じ括弧の前に句点を置く文章はあまり見かけません。
文化庁の参考資料にこのようなものがあります。
この句読法によると、引用語の場合には句点を打たず、かぎかっこ内が文の形をなしている場合は、句点を打つ、とされています。
>「」(カギ)の中でも文の終止にはうつ。
と書かれています。
この句読法は、昭和21年3月に、文部省教科書局調査課国語調査室で作成されたものであるとのこと。
この案の発表以来、半世紀が経っていますが、現在でも公用文、学校教育その他で参考にされています。
60年以上も前のやり方を未だに用いているのか? と思っていたら、
>これは明治39年2月の「文部省大臣官房調査課草案の句読法(案)を骨子とし、これを拡充してあらたに現代口語文に適する大体の基準を定めたものである」
と記載されているので、ことによると明治時代以来、公式の句読法はあまり変わっていない可能性もあります。
「句読法(案)」というように、これが「(案)」であるならば、そもそも公式の見解など存在せず、どちらが正しいということもはっきり言えないのかもしれません。
むしろ、当時の文部省も、今の文科省も、はっきりさせたくない、というのが本音かもしれません。
私は、「読みやすい文章」はあっても、「これが唯一正しい文章」というものは存在しないと思っています。
その一方で、文章の書き方(表記方法)については、一定の決まりのようなものはあるだろうと考えてきました。
しかしそれも、話し言葉と同様、時とともに変化する部分があるので、揺るぎないものでありません。
閉じ括弧の前に句点があろうがなかろうが、文章の意味が変わるものではないので、どっちだっていいんじゃないか、とも思います。
日々目にしている文章では、閉じ括弧の前に句点がないものがほとんどなので、そのほうが読みやすいように感じます。
たった一つの文字ですが、文字数の節約になりますし、スッキリした感じはします。
ただ、句点があると、「そこで文が終わります」というのがはっきりするので、余韻を持たせたくない、といった理由で、あえて閉じ括弧の前に句点を置く書き方をする人もいるかもしれません。
ところで、最近(執筆当時)、閉じ括弧の前でなく、閉じ括弧の後ろに句点が置かれている文を見かけました。
どこで目にしたか忘れたのですが、これは一般的な句点の用い方なのでしょうか。
ネットで検索すると、
>カギカッコの後に、新しい一つの文を続ける場合には、閉じカッコの後に句点を打ちます。
という説明をしているサイトにたどり着きました。
私があまり見かけないか、意識せず読み過ごしているだけで、カギ括弧の後ろに、新しい一つの文を続ける場合に、閉じカッコの後に句点を打つというのは、普通の書き方なのかもしれません。
細部にこだわることは大切ですが、句点の打ち方によって読み手に与える印象が多少異なることがあっても、意味が大きく変わるものではないので、「文章に何が書かれているか(文章の中身)」に注意を傾けて読んだほうがよいではないでしょうか。
・第12回「何かに書かされているように感じる」まで試行錯誤しながら書く
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